生活保護費で借金返済をしてはいけない理由と生活が楽になる借金の解決方法

借金の返済が苦しい人なら多くが生活保護を受けたいと考えると思います。
しかし、生活保護はお金に困っている人なら誰でも受けられるというものではありません。借金がある人は借金がなくなった状態で申請をしないと、受け取った生活保護費よりも高いお金を返さなければならない可能性があります。
生活保護を考えるほど生活が苦しい人には、債務整理という解決方法があります。借金をゼロにしたり返済を楽にできる方法なので、債務整理をすることで生活保護を受けることなく人生をやり直している人がたくさんいます。
この記事では、生活保護を受けずに借金を解決する方法を解説しています。生活保護中に借金をするとおこることも解説していきますので、生活保護を受けている最中だという人も知るべきです。
生活保護を受けながら借金が返済できない理由
最低限度の暮らしを守る生活保護とは
生活保護とは、失業や病気、障害などの理由で自活できない人をはじめ、国が認めた条件を満たす人たちに最低限度の生活を保障するための制度です。その人たちが再び自活できるようになるまで、一時的に援助するための制度です。
生活保護は最低限度の生活を守る制度
生活保護は、お金に困っている人なら誰でも受けたいと考えたことがあると思います。
しかし、援助を受けたいという人すべてが受けられる制度ではないので、あなたが生活保護を受けたいと考えているなら申し込みをするまえに制度内容を理解しておくべきです。
生活保護制度とは、生活に困窮している人々にセーフティネットを提供し、衣食住といった基本的な生活必需品の入手を保障するもの、社会の最も弱い立場の人々を保護し、極端な貧困に陥ることを防ぐためのものです。
借金といった経済的な問題苦しんでいたとしても生活保護制度で定められている「健康で文化的な最低限度の生活」以上の暮らしをしている人は生活保護は受けられません。
生活保護を受けられるのは世帯単位
生活保護は、個人ではなく、世帯に対して支給されます。つまり、世帯の一人が生活保護を受けていれば、世帯全体が生活保護を受けているとみなされるのです。
そのため、家族の中の一人が借金を抱えて困っていたとしても、世帯全体で十分収入があるとみなされると、生活援助を受けることはほぼ難しいです。
世帯収入が十分であるかの判断は、生活保護制度が定める最低限度の生活に必要な費用と比較したときに生活保護が必要かどうかです。足りない分の費用が生活保護費として支給されます。
生活保護を受けながら借金を返済するとバレる理由
生活保護は、困っている人に必要な援助を提供することができますが、生活保護を受ける条件に適さない人には厳しい要件や規制があります。
借金を抱えた人が生活保護を受けたお金で借金を返済しようとすると厳しい罰則を受けなくてはいけなくなります。
- 無収入か収入があっても最低限の生活ができる金額ではない
- 財産がほぼ手元にない
- 行政の各種手当てを受けているが生活が苦しい
- 援助をしてくれる人が一人もいない
生活保護の受給条件をまとめると、最低限の生活ができる収入・財産がなく、行政の手当てを受けてもなお生活していけない人だけが生活保護を受けられます。
生活保護の申請前の手続き
生活保護の申請手続きでは、申請者の収入・支出・借金といった経済状況を徹底的に調査します。申請者に多額の借金があることが判明した場合、援助を拒否されることがあります。
生活保護を申請したときの審査内容
- 生活状況を把握するための実施調査
- 預貯金、動産といった資産調査
- 働いている人への就労収入調査
- 無職の人への就労の可否調査
- 年金といった社会保障給付の調査
- 扶養義務者がいる人への仕送りといった援助が受けられるか調査
生活保護の申請後の手続き
個生活保護を承認された後、その人がまだ援助を受ける資格があるかどうかを確認するために、定期的な審査が行われます。審査では個人の経済状況が再調査され、受給資格に影響を与えるような変化がないか確認されます。
具体的には、生活保護の申請が通過した後にも定期的に受給者の銀行口座はチェックされ、収入がないかの確認が入ります。新たな借金をすると借金も収入とみなされるので生活保護が受けられなくなってしまいます。
生活保護を申請した後の審査内容
- 生活状況を把握するための実施調査
- 預貯金、動産といった資産調査
- 働いている人への就労収入調査
- 無職の人への就労の可否調査
- 年金といった社会保障給付の調査
- 扶養義務者がいる人への仕送りといった援助が受けられるか調査
不当な受給には厳しい罰則がある
不正な生活保護受給が発覚した場合、受け取った金額以上を返さなければいけないだけでなく、最悪の場合には刑事告訴・懲役といった厳しい罰則がかされる可能性があります。
借金を隠して受給を受けた例では故意の不正受給とみなされて「不正に受給した生活保護費の140%を返納し、生活保護を受けられなくなった」事例があります。
借金があっても生活保護を受ける方法
借金がある人も生活保護を受けられる可能性はありますが、満たさなければならない条件があります。そのひとつが、今ある借金をゼロにすることができることです。
生活保護費は基本的な生活費を支えるためのものであり、既存の借金を返済するためのものではないことが前提だということを理解しておきましょう。
生活保護は借金がゼロでないと受けられない
生活保護を受けるには、まず自治体から受給資格があると判断される必要があり、その条件のひとつに「借金がゼロであること」があげられます。
しかし、借金の返済を今のまま続けて借金をゼロにできるという人はそもそも生活保護に頼る必要がないでしょう。生活の見通しが立たないという人は、生活保護を申請する前に自己破産をしましょう。
生活保護を受けながらなんとか借金を返済したいと思っても、生活保護を申請するときに借金はバレてしまいます。
借金を整理することで生活保護を受けずに済む方法
借金を整理して生活保護を受けないためには、債務整理という選択肢があります。もしあなたに多額の借金があり、返済費用のために生活保護を受けたいと思っているのなら債務整理を検討するべきです。
債務整理は借金を減額あるいはゼロにする手続きのことで、債務整理をするとそもそもの借金がなくなったり毎月の返済額が減ったりしてあなたの苦しい生活を立て直すきっかけになるはずです。
債務整理には自己破産・任意整理・特定調停・個人再生があります。自己破産以外の手続きは返済負担を減らすための手続きなので、債務整理後も借金の返済が必要です。
借金がなくなる債務整理方法 | 借金が残る債務整理方法 |
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自己破産 | ・任意整理 ・特定調停 ・個人再生 |
借金ゼロを目指すなら自己破産
自己破産は、すべての借金をゼロにすることができる法的手続きです。自己破産をすると財産を失いますが、取りたてや毎月の返済に頭を悩ませることがなくなるので新たなスタートを切りやすいです。
将来支払う利息を減らしたいなら任意整理
任意整理は、あなたとお金を借りた債権者との間で、通常3年~5年の一定期間で借金を返済することを合意するもので、将来支払うことになる利息を減らすことができます。
任意整理の手続き中におこなう「引き直し計算」で払い過ぎた利息が判明したときには、過払い金としてお金が戻ってくるのでもともと借りたお金も減らすことができます。
支払額を減らして3年で完済したいなら特定調停
特定調停は、簡易裁判所を通しながらあなたと債権者が交渉し、支払うべき金額を減らし、3年で借金を完済できるようにするものです。
家を残したいなら個人再生
個人再生は、借金を返済しながら家を残すことができる法的手続きで、収入や支出を考慮した返済計画を立てることになります。住宅ローン特則(住宅資金特別条項)を使い手続きをすることでローンの残った家も手放さずにすみます。
生活保護中は新たな借金ができない
生活保護を受けている場合、新たな借金をすることはできません。そうすることで、生活保護の支給を受けられなくなります。
生活保護を受けている間に借金をすると、その借金は収入とみなされます。生活保護費を支給してくれる福祉事務所に借金を申告した場合には生活保護費が減額になるか最悪停止になってしまいます。
隠れて借金をした場合には、生活保護費が停止になるだけでなく、新たな借金をした後に受け取った生活保護費の140%を請求される可能性もあります。
借金を抱えて生活保護を受けるとどうなるのか
借金があるまま生活保護を受けると、生活保護の支給が停止されるだけでなく、支給額の140%の返済を求められることがあります。
生活保護を受給し始めてから借金をする場合も同様です。特に生活保護を受給中の借金は悪意があるいとみなされてしまうので、支給額の140%の返済はほぼ免れないと考えるべきです。
生活保護を受給している間は贅沢な暮らしはできませんが、借金をしないような人生をを送るための立て直し期間だと考えて我慢する必要があります。
借金と生活保護についてよくある質問
- 生活保護とは何でしょうか?
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生活保護とは、最低限度の生活を守るための制度です。国や地方自治体が、収入や財産がなくて困っている人に必要な経済的援助や福祉サービスを提供しています。より詳しく知りたい人は「最低限度の暮らしを守る生活保護とは」をご確認ください。
- 生活保護を受けながら借金を返済するとバレますか?
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生活保護を受けながら借金を返済するとバレます。理由は、生活保護の申請前後に審査があるからです。申請前には、収入や財産の状況や借金の有無などを調べられます。申請後には、定期的に家庭訪問や書類提出があります。また、不当な受給には厳しい罰則があります。「借金があっても生活保護を受ける方法」で借金がある人の生活保護の受け方を紹介しています。