債務整理中の借入がバレるか気にする前に知らないとまずいこと2つ

債務整理中でもお金を借してくれる消費者金融がいます。

大手消費者金融では借してくれませんが、中小消費者金融ならお金が借りられる可能性があります。しかし、借入額・現在の収入によっては中小消費者金融でも借り入れを断られる可能性があるので債務整理中の借り入れについて以下の2つを知っておくべきです。

最悪の場合に借り入れができるかどうかを知っておくことは大切ですが、お金が必要だからといって安易に借り入れをするべきではありません。

返済が計画通りにいかずに悩んでいる人はお金を借りるのではなく、専門家である弁護士や司法書士にもう一度相談すればずっと楽になるはずです。

目次

債務整理中に借入できたときの注意点

アコム、レイク、アイフルといった大手の消費者金融では、債務整理の手続き中に借入をすることはできません。しかし、中小の貸金業者であれば、債務整理中でも借り入れができる可能性があります。

借り入れできる可能性のある貸金業者の例

フクホー・セントラル・フタバ・アロー・ユニーファイナンス・中央リテール・ライフティなど

ただし、返済能力があるかどうかの審査があるので、借り入れ額や収入によっては借り入れができないことがあり、特に自己破産については「受け付けない」とする中小消費者金融が圧倒的に多いです。

自己破産は返済が不可能なほど生活が破綻してしまっている状態なので、再度の借入をしようとするよりも「借入できないときの対処法」をご確認ください。

借り入れする前に確認すべきこと3つ

借り入れ業者が金融庁に登録されているか

債務整理中に借り入れをする前に、「登録貸金業者情報検索サービス」を使って貸金業者が金融庁に登録されている業者であるかを確認することが重要です。

金融庁に登録されていない業者は無登録で活動している貸金業者である闇金業者の可能性があるので、借り入れをしてはいけません。闇金は法律で設定されている利息の上限を超えたり、違法な方法で取り立てをしたりするので、返済がとても大変になることがあります。

闇金業者に頼ると生活を立て直すことはますます困難になるので、どうしてもお金が必要なときは悩まずに専門家である弁護士・司法書士に相談しましょう、

債務整理していない貸金業者への借り入れか

債務整理をした会社からもう一度借り入れをすることはできません。債務整理中に借り入れが必要な場合は、以前に借りたことのないグループ会社の貸金業者に申し込んでください。

大手の貸金業者では、親会社・子会社の関係で債務整理をしたという履歴が共有されている可能性が高いです。例えば、MUFGグループの会社であるアコムの借り入れを債務整理すると、三菱UFJ銀行や三菱UFJニコスといった他のMUFJグループの貸金業者への申し込みはどれも審査が通りにくくなります。

任意整理中の借り入れは、これまで借りていない貸金業者、グループ会社におこなうにしましょう。

借り入れ総額は年収の3分の1以下か

借り入れ総額が年収の3分の1以下であることを確認してください。貸金業の法律にある「総量規制」によって、年収の3分の1を超えて貸し付けはてできなくなっています。

複数の業者から借り入れをしているときは、その総額が年収の3分の1を超えると借り入れできなくなります。保証人がいても、この総量規制は変わりません。

しかし、貸金業者でなく銀行・信用金庫・信用組合・労働金庫などからの借り入れは総量規制の対象外です。

債務整理中に借り入れをするリスク

債務整理中に借り入れをすると、専門家である弁護士や司法書士に契約を打ち切られたり手続き中の債務整理ができなくなったりします。

手続き中の債務整理ができなくなる

債務整理とは、貸金業者との和解契約を結び、あるいは裁判に申し立て、お金を返済する額を減らしたりなくしたりする手続きです。

債務整理中に借り入れをすると、貸金業者が和解を受け入れなくなり、裁判官に認められなくなってしまうリスクがあるため、債務整理中はできるだけ新たに借り入れることを控えるべきです。

貸金業者にバレて任意整理ができなくなる

債務整理中に別の貸金業者から借り入れをした場合、任意整理で返済額を減らす交渉がしにくくなります。

任意整理は法的な効力がなく、貸金業者と借金の返済額や利息などを交渉します。他の貸金業者から借り入れをしていることがバレると「借りたお金で返済ができるはずだ」と、借金の分割返済や利息を下げる交渉をしてくれない貸金業者もいます。

複数の貸金業者から借金をしているときは、他の貸金業者から借り入れしていることがバレると、任意整理の交渉に応じてもらえない可能性が高まります。

裁判所に認められず個人再生ができなくなる

債務整理中に借り入れをすると、個人再生ができなくなる可能性が高くなります

個人再生は、借金の総額の何%を返済するか、毎月の返済日と返済額、返済期間などを決めて裁判所に再生計画を提出し、承認される必要がある手続きです。

個人再生中に借り入れをすると、提出した再生計画が裁判所に認められず、個人再生に失敗する可能性が高くなります。

免責が認められず自己破産できなくなる

債務整理中に借り入れをすると、自己破産の手続のメリットである借金をゼロにすることができなくなる可能性が高まります

自己破産は、裁判所から免責(借金を返済する義務を免除する手続き)が認められることで借金を全て返済しなくても良くなります。しかし、借り入れをすることで免責が認められない可能性が高くなり、免責が認められない場合は、借金は全て返済する必要があります。

弁護士・司法書士に契約を解消される

債務整理をするには、借金を返済する意欲が必要ですが、借り入れをすると返済の意欲がないと見られてしまいます

債務整理中に借り入れをすると、司法書士や弁護士に契約を解消されて、手続きが中断することがあります。任意整理個人再生をする場合は、借金を返済している最中に借り入れをすると、司法書士や弁護士との契約が打ち切られる可能性があります。

借り入れをしないと返済ができない場合は、司法書士や弁護士に相談して、貸金業者との再和解や再生計画の変更を交渉してもらうべきです。

借金の返済が苦しくなる

債務整理中に借り入れをすると、もともと返済が簡単だった借金に加えて新しい借り入れの分も返済する必要があります。

その結果、返済が困難になり、また、貸し手に対しても借り入れをしたことが判明した場合、再度借り入れをすることができなくなる可能性があります。自己破産や個人再生にも失敗する可能性が高くなります。

債務整理中に借入できないときの対処法

生活福祉資金貸付制度を利用する

債務整理中にも、生活福祉資金貸付を利用することで、必要な資金を借りることができる可能性があります。

生活福祉資金貸付は低所得者が利用できる制度で、市町村民税が非課税になる程度の年収を持った人が対象です。

この制度は、総合支援資金・福祉資金・教育支援資金・不動産担保型生活資金の4つにわかれており、借り入れの目的に応じて金額や保証人の有無が変わります。

総合支援資金は生活立て直しの費用

総合支援金は、低所得者が生活を立て直すために必要な資金を借り入れることができる制度です。総合支援金は、生活支援費・住宅入居費・一時生活再建費の3つにわかれています。

生活支援費は二人以上の世帯の場合は月20万円以内単身の場合は月15万円以内の借り入れが可能です。住宅入居費は40万円以内、一時生活再建費は60万円以内の借り入れが可能です。

全ての費用が保証人がいれば無利子、保証人がいない場合は年利1.5%の低金利で借り入れができます。

福祉資金は2種類ある

福祉資金は、緊急小口資金福祉費の2種類があります。

緊急小口資金は、保証人なしで10万円まで無利子で借りられる生活に困った場合に使える小額のお金です。

福祉費は保証人がいれば無利子で借りられますが、保証人がいない場合は年利1.5%で借りられます。様々な目的があり、目的によって借りられる金額が違います。

福祉費の目的貸し付け上限額の目安
生業を営むために必要な経費460万円
技能習得に必要な経費およびその期間中の生計を維持するために必要な経費技能を習得する機関が
6ヵ月程度 130万円
1年程度 220万円
2年程度 400万円
3年以内 580万円
住宅の増改築、補修などおよび公営住宅の譲り受けに必要な経費250万円
福祉用具などの購入に必要な経費170万円
障碍者用の自動車の購入に必要な経費250万円
中国残留邦人などにかかる国民年金の追納に必要な経費513.6万円
負傷または疾病の療養に必要な経費およびその療養期間中の生計を維持するために必要な経費療養期間が
1年を超えないとき 170万円
1年を超え1年6ヵ月以内であって、世帯の自立に必要なとき 230万円
介護サービス、障碍者サービスなどを受けるのに必要な経費及びその期間中の生計を維持するために必要な経費介護サービスを受ける期間が
1年を超えないとき 170万円
1年を超え1年6ヵ月以内であって、世帯の自立に必要なとき 230万円
災害を受けたことにより臨時に必要となる経費150万円
冠婚葬祭に必要な経費50万円
住居の移転など、給排水設備などの設置に必要な経費50万円
就職、技能習得などの支度に必要な経費50万円
その他日常生活上で一時的に必要な経費50万円

教育支援資金は学校で学ぶための費用

教育支援資金は、高校や大学、高専などの学校で学ぶために必要な費用として借りることができます。教育支援費就学支度費の2種類あり、それぞれ借り入れ可能額の設定が異なります。

教育支援費は、高校で月3.5万円、高専で月6万円、短大で月6万円、大学で月6.5万円まで借りられます。特に必要な場合は1.5倍の金額まで上限を引き上げることができます。就学支度費は50万円まで借りられます。

これらの借り入れは無利子ですが、債務者であるあなたの世帯の生計を支えている人が連帯借受人として返済に協力する必要があります。

不動産担保型生活資金は高齢者の生活資金の費用

不動産担保型生活資金は高齢者世帯に対して、住んでいる家を担保にして生活資金を貸し付ける制度です。また、要保護の高齢者世帯に対しても同様の制度があります。これらの制度に利用するには条件があることに留意してください。

不動産担保型生活資金の条件

  • 貸借権や抵当権などが設定されていない評価額1,500万円以上の持ち家がある(一軒家のみ)
  • 持ち家はお金を借りる高齢者が一人で所有している、もしくは配偶者と共有している
  • 配偶者または親以外が一緒に住んでおらず、全員が65歳以上である
  • 生活保護を受けていない
  • 反社会勢力ではない

不動産担保型生活資金の条件に当てはまれば、持ち家の土地の評価額の70%を上限として、月30万円まで借りられます。借り入れ期間は、借りている人が亡くなるか、貸し付けの上限金額に達するまでで、期間終了後に持ち家を売却して返済することになります。

年利3%もしくは長期プライムレート(民間金融機関が企業に対して1年以上の期限の融資をするときに最低限度となる金利のこと)のうち低いほうが利息となり、必要な連帯保証人は推定相続人から1人が選ばれます。

要保護世帯向け不動産担保型生活資金の条件

  • 貸借権や抵当権などが設定されていない評価額500万円以上の持ち家がある(一軒家もしくは集合住宅)
  • お金を借りる人と配偶者が65歳以上である
  • お金を借りる人の世帯が制度を利用しないと生活保護を受ける必要があると福祉事務所が認めている

要保護世帯向け不動産担保型生活資金の条件に当てはまっていれば、持ち家の評価額の70%(一軒家の場合)もしくは50%(集合住宅の場合)を上限に、生活扶助費(生活保護を受けている人がもらえる金額)の1.5倍まで毎月借り入れが可能です。

借り入れ期間は、借りている人が亡くなる、貸し付けの上限金額に達するまでで、借り入れ期間が終了すると持ち家を売却して返済するか、借りている人が亡くなった場合は相続人が返済をする必要があります。

連帯保証人は不要で、利息は年利3%もしくは長期プライムレートのどちらか低いほうで設定されます。

その他にも利用できる様々な制度がある

年金担保貸付制度を利用する

年金担保貸付制度国からお金を借り入れるために国民年金や厚生年金保険、労働者災害補償保険を担保にする制度です。

生活や病気などでお金が必要な時に1年間で支払う年金の80%以内で、10万〜200万円の金額で借りることができます

年金担保貸付制度を申請する前には年金の証明書を準備する必要があるので注意してください。

求職者支援資金融資制度を利用する

求職者支援資金融資制度は、転職や再就職を希望している人に対して、職業訓練を無料で受けながら月に10万円の支援を受けることができる制度です。

もし、支援金である10万円で生活が成り立たない場合は、労働金庫から借り入れを申し込むことができます。

母子父子寡婦福祉資金貸付制度を利用する

母子父子寡婦福祉資金貸付制度は、子育てや家事のために時間的に制約を受ける場合に、ひとり親の世帯(母子家庭や父子家庭)が生活費の不足分を借りることができる制度です。

また、子供の入学日や学費などで一時的にお金が必要な時にも利用することができます。審査により最大314万円の融資を受けることができ、連帯保証人がいれば利息がゼロになることもあります

善意銀行の貸付事業を利用する

債務整理中に生活が苦しい場合は、寄付金で成り立っている善意銀行から借入を申し込むことができます。善意銀行は、利益を目的にしていないため利息はかからず、最大で10万円まで借りることができます

借りる額は地域によって違いますが、1万〜10万円の範囲内です。申請をするには生活資金が足りていないことが伝われば審査に通るので、申し込んでみることをおすすめします。

債務整理中の借入についてよくある質問

債務整理中に借入できたときの注意点は何でしょうか?

債務整理中に借入できたときの注意点は、借入業者が金融庁に登録されているか、債務整理していない貸金業者への借入か、借入総額は年収の3分の1以下かなどを確認することです。「借り入れする前に確認すべきこと3つ」で詳細をご確認ください。

債務整理中に借入できないときはどうしたらいいですか?

債務整理中に借入できないときの対処法は、生活福祉資金貸付制度やその他の様々な制度を利用することです。生活福祉資金貸付制度は、生活立て直しや教育支援や高齢者生活資金などの目的で利用できます。その他にも利用できる対処方法を「任意整理中に借入できないときの対処法」で紹介していますのでご確認ください。

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