クレジットカードの過払い金請求できる条件と知らないとまずい落とし穴

あなたのクレジットカードが過払い金を請求できるかは、次の3つを確認することでわかります。
クレジットカードで過払い金が発生することはよくあるので、条件に当てはまれば過払い金を取り戻すことができます。
しかし、計画を立てずにクレジットカードの過払い金を請求してしまうと、手続きに時間がかかる・クレジットカードが利用できなくなる、ブラックリストに載る、といったリスクがおこります。注意点を知らずに過払い金を請求すると後悔するので必ず事前に確認してから過払い金を請求しましょう。
過払い金を請求できるクレジットカードの条件
あなたのクレジットカードが過払い金請求ができるか調べるための条件は3つです。クレジットカードの利用期間・時効・クレジットカード会社の倒産について確認してください。
できる | できない | |
利用期間 | 2010年より前に利用している | 2010年以降にしか利用していない |
クレジットカード会社 | 倒産していない | 倒産している |
時効 | 最後の取り引きから10年以内である | 最後の取り引きから10年経過している |
2010年までにクレジットカードのキャッシング(借入)を利用した
2010年6月以前にクレジットカードを使っていた人は、過払い金を取り戻せる可能性があります。
過払い金はどんな方法で返済しているクレジットカードでも発生することがありますが、一括払いよりもリボルビング払いの方が返済期間が長く利息を多く支払っているはずなので、過払い金も多くなる可能性があります。リボルビング払いには、毎月の返済額が変化する「残高スライド方式」と、定額返済である「定額方式」があります。
なぜ過払い金が取り戻せるかというと、クレジットカード会社などの貸金業者が契約者に貸し付ける上限金利は法律で定められています。定められた上限金利は利息制限法が20%なのに対して、出資法は29.2%で、多くのクレジットカード会社は契約者に出資法の上限金利である29.2%で貸し付けしていました。2010年6月、最高裁判所において「上限金利は20%」と判決がでたので利息制限法と出資法の上限金利の差であるグレーゾーン金利が払い過ぎていた利息、つまり過払い金となって、クレジットカード会社に返還請求できるようになりました。
クレジットカードをショッピングだけで使用している場合は過払い金は発生しません。
ショッピングで支払うお金は「立て替え金」であり、「貸し付け金」ではないからです。「立て替え金」で発生する余剰分は利息ではなく、分割手数料のため、過払い金の対象になりません。リボ払いも同様です。
カード会社により請求の可否・手続き期間が違うので注意
過払い金請求は、使っているクレジットカード会社によって、返還率や手続き期間が異なります。利用中のクレジットカード会社だけでなく、これまで使用していた他のクレジットカード会社でも過払い金が発生している可能性があります。自分に過払い金があるか、どの程度あるかを確認するためには、まずは過払い金についての相談をおこないましょう。
最後の取り引きから10年以内である
2010年6月以前にクレジットカードを利用している人は、過払い金の請求ができますが、クレジットカード会社と最後に取り引きをした日から10年が経過すると時効が成立してしまい、請求ができなくなります。
最後に取り引きした日は、クレジットカード会社との取引履歴を確認することでわかります。時効が近づいているという人はできるだけ早く過払い金請求の手続きを進める必要があります。
過払い金請求するクレジットカード会社が倒産した
クレジットカード会社が倒産している場合は、過払い金を請求することができなくなります。しかし、中には他の会社と吸収合併したクレジットカード会社もあります。その場合には、吸収したカード会社に過払い金請求をおこなえば過払い金を取り戻すことができます。
他社に吸収されたクレジットカード会社の例
吸収されたクレジットカード会社 | 吸収したクレジットカード会社 |
---|---|
ゼロファースト | エポス |
オーエムシーカード・セントラルファイナンス・クオーク | セディナ |
日本信販・UFJカード・ディーシーカード | ニコス |
クレジットカード会社に過払い金を請求するリスク
クレジットカード会社に過払い金を請求することで発生するリスクは2つあります。どちらも回避方法があるので、上手に回避してリスクを軽減するようにしましょう。
過払い金を請求をした会社のクレジットカードは利用できない
過払い金を請求したクレジットカードは、利用できなくなる可能性が高いです。クレジットカード会社は社内で情報を共有していて、過払い金の請求があった人をリストップしていることがあるからです。このリストアップをクレジットカード会社の社内ブラックリストと呼ぶことがあります。
クレジットカードを使用できないリスクの回避方法
過払い金請求をしたクレジットカード以外のクレジットカードには影響はなく、使用できます。
しかし、各クレジットカード会社が情報を共有している信用情報機関に過払い金請求をしたという記録が残ると他社のクレジットカードも使用できなくなる可能性があります。詳細は「過払い金を借金が上回るとブラックリストに載る」をご確認ください。
過払い金の請求をするときは、クレジットカードが使えなくなる可能性があることを理解して、それでも請求をするか事前に確認しておくべきです。
過払い金を借金が上回るとブラックリストに載る
過払い金を請求すると払い過ぎた利息が戻ってくる可能性がありますが、各クレジットカード会社が情報を共有している信用情報機関に過払い金請求をしたという記録が残るいわゆるブラックリストに載ることがあります。
ブラックリストに載ると、今後の借り入れやクレジットカードの審査が厳しくなる・使用していたクレジットカードが利用できなくなるといった影響がありますが、その状態は一生続くわけではありません。
ブラックリストに載ってから5年ほど経過すると、クレジットカードの審査は比較的楽に通ります。ブラックリストに載っている間には、デビットカードやプリペイドカードといった代わりのサービスを利用するという手もあります。クレジットカードを使わないと毎月の返済が苦しいという人は任意整理をすると借金をだいぶ減らせる可能性があります。
ブラックリストの回避方法
ブラックリストに載りたくないという人は、ブラックリストに載らずに過払い金を請求する方法があります。
- 過払い金の請求よりも、ショッピングやキャッシングの利用残高を少なくする
- 過払い金の請求の対象となるクレジットカード会社だけを選んで請求する
過払い金請求よりも、ショッピングやキャッシングの利用残高を少なくする
過払い金請求をする前に、過払い金があるか・いくらあるかを調べましょう。多くの法律事務所が無料で診断をおこなっています。取り戻せる過払い金よりもショッピングやキャッシングの利用残高が多いならショッピングやキャッシングの利用残高を減らす必要があります。
また、より多くの過払い金を取り戻すために過払い金請求に強い専門家である弁護士・司法書士に依頼するのもよいです。
ショッピングやキャッシングの利用残高を減らすか、過払い金請求をより多く取り戻せる専門家に依頼して過払い金よりもショッピングやキャッシングの利用残高が少なくなればブラックリストには載りません。
ショッピングやキャッシングの残高があるクレジットカード会社に過払い金を請求しない
複数の会社のクレジットカードを利用している人は、ショッピングやキャッシング利用の残高がないクレジットカード会社だけを選んで過払い金請求をおこなえばブラックリストに載りません。複数の会社のクレジットカードを同時に利用しているときは、ショッピングとキャッシングの残高を確認するようにしましょう。
クレジットカード会社に過払い金を請求する前に知るべき落とし穴
銀行の口座残高を確認しておく
過払い金を請求する前に、銀行の口座残高を確認し、ゼロにしておきましょう。
過払い金請求をする時には、まずクレジットカード会社に「過払い金請求の手続きを開始する」と通知し、返済をストップしてもらうことが必要です。そして、借り入れしたときの金利・金額・日付、そして返済した金額・日付が記載された取引履歴をクレジットカード会社から送ってもらい、このデータをもとに引き直し計算(利息の再計算)をすると過払い金がいくら取り戻せるかがわかります。
クレジットカードの毎月の返済を口座引き落としにしている人は、クレジットカード会社が引き落としをストップするのが間に合わなくなり借金が返済されてしまう可能性があります。せっかく引き直し計算をしても返済してしまうと金額が変わってしまい過払い金を取り戻す手続きに時間がかかってしまうので、口座引き落としをしている銀行の口座残高はゼロにしておくことをおすすめします。
クレジットカード払いの設定を変更しておく
過払い金を請求する前に、クレジットカード払いになっている定期的な支払いは、銀行口座からの引き落としやコンビニ支払いなどに変更しましょう。
スマホの利用料金や公共料金、保険料、その他サービスの支払いをクレジットカードで決済している場合に、クレジットカードが停止すると支払いが未払いになってしまいます。未払いになると当然のことながら利用サービスは停止してしまいますし、利用料の請求に事務所手数料が上乗せされる場合もあります。
クレジットカードのポイントは使い切る
過払い金請求でクレジットカードが利用できなくなると、これまで貯めていたポイントもなくなってしまいます。過払い金の請求手続きをする前にポイントを使いきらないと無駄になってしまうので注意しましょう。
クレジットカード会社への請求を誰がおこなうか確認しておく
過払い金請求をする際には、自分でやるか専門家に依頼するかを検討し、選択することが重要です。自分でやる場合は手続きをすべて自分で行う必要がありますが、専門家に依頼する場合は手続きのほとんどを代行してくれます。
自分で請求するときのメリット・デメリットと専門家に請求するときのメリット・デメリットをまとめました。
自分でするメリット | 自分でするデメリット |
---|---|
〇お金が安くすむ | 過払い金が戻らない可能性がある ✖ ✖家族や会社にバレることがある ✖裁判の準備や対応を自分でしなくてはいけない ✖何かトラブルがおこったら自分で対処する必要がある |
専門家に依頼する | メリット専門家に依頼する | デメリット
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〇過払い金の調査は原則無料 〇過払い金の計算が正確 〇過払い金の返還請求を代行してくれる 〇裁判の対応やトラブルへの対処を任せられる | ✖お金がかかる |
クレジットカートと過払い金についてのよくある質問
- 過払い金を請求できるクレジットカードの条件は何ですか?
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過払い金を請求できるクレジットカードの条件は、2010年までにクレジットカードのキャッシング(借入)を利用していることと、最後の取り引きから10年以内であることです。また、過払い金請求するクレジットカード会社が倒産した場合でも、他社に吸収された場合は請求できる可能性があります。もっと詳しく知りたい人は「過払い金を請求できるクレジットカードの条件」をご確認ください。
- クレジットカード会社に過払い金を請求する前に知るべき落とし穴は何ですか?
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クレジットカード会社に過払い金を請求する前に知るべき落とし穴は、銀行の口座残高を確認しておくことや、クレジットカード払いの設定を変更しておくことなどです。また、クレジットカードのポイントは使い切っておく必要があります。また、誰がクレジットカード会社に請求をするかで費用が変わってくるので詳しくは「クレジットカード会社への請求を誰がおこなうか確認しておく」をご確認ください。